みなさんこんにちは、田舎の精肉店肉処とよた略して『肉とよ』です🍖
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私たち人間は食事をすることで生命の維持をするとともに、「美味しいものを食べる」という喜びを日々求めています。
お肉に限らず、『安心・安全への取り組み』によって、私たちの口に入る食べ物は生産から小売りの段階まで徹底的な衛生管理がなされています。
そこで、【食肉を知る】と題しましてについて肉とよ的にシリーズ解説!
今回は『トレーサビリティ』について深掘りしていきます。
トレーサビリティとは
トレーサビリティは「(食品の)移動を把握できること」を意味する英語由来の表現。
traceabilityと英語表記されるトレーサビリティは、動詞-trace(跡を辿る)接尾辞-ability(可能である)が付いた形容詞でもあります。
日本語では「追跡可能性」と訳されることも多く、
- 商品の生産・流通過程が追跡可能
- 生産・流通の履歴を正確に記録・管理
以上のようなシステムのことをいいます。
また、単に追跡できるかどうかに留まらず、追跡のための履歴の記録や管理体制までを包括した表現として用いるためにも、英語をそのままカタカナ表記にした「トレーサビリティ」という言い方が用いられることが多いです。
トレーサビリティは、食の安全の観点から、とくに食品流通の分野において重視されるようになりました。
各事業者が食品を取り扱った記録を作成・保存しておくことにより、たとえば食中毒などの健康被害が生じた際に、
- 遡及‥問題を含む食品がどこから来たのか
- 追跡‥どこに行ったか
を調べることができます。
牛のトレーサビリティ
BSE(牛海綿状脳症)や偽装表示の問題を受けて、牛肉の安全性に対する信頼を確保したり、BSEのまん延防止措置を的確に行うことなどを目的に、2003年に牛トレーサビリティ法が制定・施行されました。
これによって牛肉の生産加工・流通履歴の管理が義務化されることになったのです。
とくに、BSEという病気は牛などの家畜のみならず、感染牛のお肉を食べることによって人への感染の危険性もあることから、こうした対策がとられるようになりました。
そこで用いられたのが『個体識別台帳・番号』です。
個体識別台帳には
- 牛の出生・雄雌などの個体情報
- 牛を管理した人の情報
- 牛のと畜・死亡
これら3つの情報が記載されています。
出生すぐにこの番号が印字された耳票(耳に付けるタグ)を装着し、と畜まで外されることはありません。
豚・鶏のトレーサビリティ
一方で、豚・鶏は牛と異なり、トレーサビリティが制度化されていません。
しかし、食肉の安全・安心への感心が高まるなかで、豚や鶏においても食品事故の際の迅速な回収や原因究明、表示情報の信頼性の向上を目的として、トレーサビリティシステムの構築が推奨されています。
2007年に豚・鶏においてのトレーサビリティの手引きが、農林水産省によって発表されました。
群で飼育することが多い豚・鶏は、牛の場合と異なり、個体ではなく群ごとに記録されるケースが多いです。
豚は群ごとに記録
豚の場合、
- 与えられた飼料や動物用医薬品
- 豚舎・豚房の移動
- と畜された場所
などが記録されます。
しかし、豚は生まれたときから出荷までずっと同じ群編成というわけではなく、豚舎を移動する際に群編成を変える農場も少なくありません。
また、たとえば30頭の群のうち1頭でも体調が悪くなって治療をした際、その群全ての豚が治療された、という記録になってしまいます。
生産現場でとった記録を、どのようにと畜場から流通までつなげるか、ということも課題の1つです。
これらの対策として、と畜場では加工のためのロット番号を活用するなどの方法がとられています。
鶏も群‥でも豚より容易
鶏の場合も、
- 飼料
- ワクチネーション
- と鳥した場所
などが記録されます。
豚同様に群での管理であることは同じですが、鶏はヒナのときから鶏舎・農場内で移動させることがほぼないため、ロットでも管理も豚よりは容易です。
また、鶏舎ごとにヒナを購入するケースが多いため、1ロットが当然大きくなります。
ロット内の鶏はその飼育条件・品種・導入出荷などの移動日が同じであることが必要であるため、
- 複数の鶏舎からなる生産農場全体の鶏すべてを1ロット
- 鶏舎ごとの鶏で1ロット
この2パターンで管理するケースが多いです。
まとめ
牛・豚・鶏、それぞれのトレーサビリティを解説しました。
食肉の安全・安心への感心が高まるなかで、私たち消費者が知りうる情報は限られています。
生産から出荷、販売を担う業者のみなさんにはぜひとも徹底管理をしていただき、食の安全を図っていってもらいたいものです。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。