みなさんこんにちは、田舎の精肉店肉処とよた略して『肉とよ』です🍖
↑以前、日本人になじみの深い焼肉、また焼肉店で提供される”豊富なメニュー”をご紹介させていただきました。
牛肉はもちろん、豚・鶏などの獣肉、サイドメニューやスイーツなどなど‥焼肉にはいろんな楽しみ方があります。
さて。
- その豊富なメニューの中に【生肉】に分類されるものがあるのをご存じでしょうか?
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- ユッケ
- たたき
- 牛刺し
- 生レバー
- 生センマイ
- 生タン
などがあります。
‥が、これらのほとんどは現在では店舗で食べることができません。
その背景を、今回の記事にて解説していこうと思います。
なぜ生レバーが食べられなくなったか
欧米・豪州などでは古くから畜産が盛んで、酪農製品や食肉を中心に食文化が形成され、食肉の生食による危険性を経験から学んできました。
ましてや家畜のレバーなどの内臓を生で喫食することは宗教的にもタブーとされてきました。
一方、周囲が海に囲まれた日本では古くから家畜を食べる習慣がなかったためたんぱく源には魚介類に依存し、魚文化が確立されてきました。
そのため、もともと日本人は生食への抵抗はなかったのです。
さらにいえば、数々の肉食禁止令を経て一般家庭でも日常的にお肉を食べるようになったのは明治時代初期。
約120年と肉食自体の歴史が比較的浅く、日本人にとってはお肉を生で食べることはごくありふれた行為となったのでしょう。
しかし、1982年米国でハンバ-グを原因食とする腸管出血性大腸菌(ベロ毒素を産生する大腸菌) O-157食中毒が発生。
さらに、同年カナダにおいてもハンバ-グによるO-157の食中毒が報告されました。
いずれも牛肉が原因であると推定されたことから、世界各国で積極的に牛からの本菌の調査が行われました。
わが国でも多くの研究者がと畜場に搬入された牛からのO-157検出例が1992年以降多数報告されたのです。
牛の胃内や大腸からO-157が検出されたことから、厚生労働省でも実態調査がなされ、
- 牛レバーの内部に腸管出血性大腸菌やカンピロバクターが汚染していること
- レバー内部の病原菌を殺菌できる技術がないこと
- 牛レバーの生食による食中毒のリスクが高いこと
などの研究結果が明らかにされました。
しかも、少数菌で食中毒を起こすので、新鮮な牛レバーや冷蔵庫に保管したレバーであっても危険です。
これらのことから、生牛レバーは食べないことが唯一の予防対策として、厚生労働省は食品衛生法の一部を改正します。
食品衛生法に基づく「生食用食肉の規格基準」が定められ、飲食店において平成24年に牛レバーの生食(レバ刺し)が禁止となりました。
ちなみに。
牛のレバ刺しの代わりに、豚のレバ刺しを提供するお店が現れます。。
豚肉は、細菌や寄生虫による食中毒の危険性が高いため加熱して食べる事が一般的で、 生食用として提供・販売することは法的にはまだ規制されていませんでした。
飲食店などで牛のレバ刺しの代わりとして豚のレバ刺しが提供される実態を受けて、平成27年内臓類を含むすべての豚肉の生食の販売・提供の禁止されました。
「生食用食肉の規格基準」
生食用食肉の規格基準。
これは、牛の生肉を提供するにあたり、加工方法や調理器具などの基準を設定したものです。
生肉とはレバーなどの内臓系を除く、ユッケや牛刺し・牛のタタキなどが含まれます。
- 牛レバーを原料として調理する場合はレバーの中心部の温度が63℃で30分以上または75℃1分以上加熱しなければならない
- 事業者は牛レバーを加熱用として提供し、生食用あるいは刺身として提供することはできない
食肉販売店では
- 牛レバーは加熱用として販売し、生食用や刺身用として販売はできない
- 加熱されていない牛レバーを販売する際には、お客様にレバーの中心部まで十分に加熱する必要のあることを案内しなければならない(この法律に違反した場合には罰則があり、200万円以下の罰金または2年以下の懲役が科せられる)
基準を満たした店舗のみ、生肉の提供が許可されるのです。
生肉食の種類
‥ということは、上記の基準をクリアしたお店なら生肉の提供が可能なんだということ。
そのようなお店でしか食べられないので昔と比べると希少なメニューではありますが、探せばきっとある‥っ!!
牛刺し・牛タタキ
その名の通り、牛の刺身。
使う部位は店により様々ですが、細かくサシが入った部位や、ヒレ肉やもも肉など、繊維質が細かい部位が刺身向きとされています。
さっぱりとした味わいで、ワサビ醤油で食べると味が引き締まります。
牛のタタキは、刺身でも食べられるブロック肉の表面を炙った物を薄くカットしたもの。
ほんのりと火が入ることで風味が増し、牛刺しとは異なったおいしさがあります。
ユッケ
韓国料理のひとつで、焼肉屋では定番のメニューの1つ。
牛肉の赤身を細く切り、醤油やごま油、ニンニクや砂糖、コチュジャンなどを混ぜ合わせた特製ダレで合え、中央に卵黄をのせた物が一般的です。
本場韓国のユッケは、これにリンゴや梨のせん切りが添えられるケースも☆
牛肉はもも肉が使われるのが主流ですが、タンや馬肉を使ったアレンジユッケもあります。
センマイ刺し
牛の第3の胃袋部分で、ボイルしたセンマイをポン酢や酸味の利いた味噌ダレなどで食べるのが一般的です。
細かいグレー色のボツボツとしたヒダ・表面が特徴的ですが、臭みはなく、独特の食感を楽しめます。
馬刺し
馬肉の生身。
赤身や霜降りのほかに馬にしかない「タテガミ」や、「フタエゴ」と呼ばれるアバラ部位など、味も見た目も異なる部位を刺身で食べられます。
タテガミは真っ白な身が特徴で、脂質とゼラチン質からなっています。
また、フタエゴは赤身と脂身が層になり、コリコリとした食感を楽しめる希少部位です。
まとめ
生肉が好きな方はたくさんいらっしゃいます。
しかし規制は厳しくなる‥それでも安全を守るためには仕方のない事です。
しっかりとルールを守り、自身が気をつけることで食中毒などを防ぐことができます。
今後新しい加工の手法が発見されれば、また食べれるようになる可能性もあります。
精肉店としても、新しい発見や技術に期待したいところです。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。