みなさんこんにちは、田舎の精肉店肉処とよた略して『肉とよ』です🍖
私たちの口に入る食べ物は、生産から小売りの段階まで徹底的な衛生管理がなされています。
そこで、【食肉を知る】と題しましてについて肉とよ的にシリーズ解説しております!
今回は、食肉の安全を語るうえで欠かせない『動物からヒトに感染する病気①人獣共通感染症』について深掘りしていきます。
人獣共通感染症とは
土地開発や自然環境の変化・野生動物のペット化・人や動物の国際的な移動などにともない、世界的にみて新しい感染症が次々に見つかっているのをご存じでしょうか?
そこで出てくるのが「人獣共通感染症」です。
【人獣共通感染症(ズーノーシス)】
動物由来感染症とも呼ばれ、人と動物との間に共通する病気(感染症)のことをいいます。
「脊椎動物と人との間で自然に移行するすべての病気または感染」
として、WHO(世界保健機関)とFAO(国際連合食糧農業機関)によって管理・定義付けされています。
この対象となる動物には
- 哺乳類
- 魚類
- 両生類
- は虫類
- 鳥類
など、あらゆる生き物が含まれます。
一般的にはあまり聞き慣れないかもしれませんが、人獣共通感染症のなかにはSARS(重症急性呼吸器症候群)やエボラ出血熱などのように重症化するもの・有効な治療法が未だ確立されていないものもあります。
WHOが確認しているだけでも150種類以上の人獣共通感染症がありますが、日本にすべての感染症が存在するわけではありません。
身近な食中毒症
食肉衛生上重要な感染症にはサルモネラ症・炭疽(たんそ)・トキソプラズマ症などがあります。
【サルモネラ症】
サルモネラ菌に曝露してから12時間~36時間後に症状が現れ2日間~7日間続く。最も一般的な症状は下痢・発熱・腹痛・嘔吐など。ときに脱水症状からより重度の疾患を招くことがある。
【炭疽】
炭疽とは「炭のかさぶた」の意味であり、炭疽菌が顔・首・手などの皮膚の小さな傷から侵入すると、1 – 7日後ニキビのような小さな無痛性のふくらみが現れ、しばらくすると黒いかさぶたになる。高熱が出ることもある。炭疽菌が空気とともに肺に吸引された場合、未治療だと90%を超える致死率となる。
【トキソプラズマ症】
食肉を生食したり加熱が不十分だったりした場合感染することがある。ほぼ症状はないが、まれにリンパ節の腫れや発熱・筋肉痛・疲労感が続く(緩やかに1ヶ月程度で回復する)
いちばん身近なのはサルモネラ症。
原因となるサルモネラ菌は、家畜の消化管に常在しているので、食肉や卵を介してヒトに感染し食中毒を引き起こします。
予防としては、
- 生産加工関係者‥食肉や卵への汚染防止
- 消費者‥調理時に十分に加熱する
この2つの徹底です。
炭疽は炭疽菌によって起こり、牛豚などから直接あるいは製品を通じてヒトに感染し、皮膚炎・腸炎・肺炎を起こす病気です。
それらを引き起こす恐れのある部分は、日本ではと畜検査の段階で廃棄処分され市場に流通することはありません。
感染力が強力なため、経口感染では死亡するケースもあります。
2001年にアメリカで起きた炭疽菌テロ事件では5名が肺炭疽で亡くなっています。
トキソプラズマ症は、豚は猫にみられます。
豚の感染率は減少傾向にあり、近年では飼い猫・あるいは野良猫からヒトへの感染が危惧されています。
妊娠初期の女性が感染すると、胎児が死亡したり脳障害を起こす可能性もあります。
高病原性鳥インフルエンザの脅威
鳥インフルエンザとは、A型インフルエンザウィルスが引き起こす鳥類の疾病のことです。
野生の水禽類(アヒルなどのカモ類)が自然宿主と考えられており、鳥インフルエンザのなかで家禽類(鶏・七面鳥をはじめとした食肉用の鳥類)などに感染すると非常に高い病原性をもたらすものが「高病原性鳥インフルエンザ」です。
東南アジアを中心に、中東・ヨーロッパ・アフリカの一部地域などで感染が確認されています。
日本でも2004(平成16)年に山口県で発生が確認されて以降、各地で数例の感染報告が上がっています。
感染した鳥やその排泄物・死体・臓器などとの接触によって稀にヒトに感染する場合があり、アジアや中東・アフリカを中心に600人強の発症も報告されています。
このうち、半分以上の350人を超える人数が死亡したんだとか。。
ただ、食品としての鶏肉や卵による感染の報告はありません。
原因となるウィルスは加熱すると死滅することから、食中毒予防の観点からも十分な加熱調理(内部まで70℃に達すること)をするよう推奨されています。
何よりも生きた病鳥との接触を避けることが肝心です。
まとめ
人獣共通感染症による病気の中で、とくに食中毒が挙げられます。
食中毒はウィルスに感染したときに引き起こされますが、十分な加熱・適切な処理で避けることができます。
安心・安全に食を楽しむためにも、大事な知識の1つとして身につけておきましょう。
別記事にて、身近なペット動物や野生動物、またそれらとのふれ合いによってヒトにもかかる可能性のある病気について開設していこうと思います。
お時間があれば、どうぞご覧くださいませ。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。