みなさんこんにちは、田舎の精肉店肉処とよた略して『肉とよ』です🍖
「〇〇したい百選!」だの「三大△△」だの、私たち日本人はなにかと選びがちオススメしがちな国民性があります。
こちらは、以前お届けした『日本三大銘柄牛、の5種』の記事。
牛に限らず、鶏にも三大があるのをご存じでしょうか?
今回は『日本三大地鶏』について解説していこうと思います☆
国内で消費されている鶏肉はこちら
現在、日本で食べられている鶏肉には、飼育がしやすく成長も早い『ブロイラー』と呼ばれる若どりと、国産銘柄鶏(各地方特産の『銘柄鶏』・日本固有の在来種を素にした『地鶏』)とがあります。
全国食鳥出荷羽数構成比(平成23年)
画像は日本食鳥協会より引用
銘柄鶏の若どり系も含めると、ブロイラーがほとんどを占めていることがわかります。
そんな中で、ひっそりとたたずむ地鶏‥。
スーパーなどの小売店やネット販売、また飲食店でも、地鶏と銘打った鶏肉を見かけることはありませんか?
地鶏や赤系の銘柄鶏の流通量は、鶏肉全体から見ればわずかしかありませんが、その地方に旅行などで訪れた際には、ぜひともご相伴に預かりたい食べものでもあります。
さて。
地鶏は、先に説明したとおり、日本固有の在来種を素に飼育された鶏のことを指します。
日本の在来種 (38種類) | |||
会津地鶏 | 伊勢地鶏 | 岩手地鶏 | インギー鶏 |
烏骨鶏 | 鶉矮鶏 | ウタイチャーン | エーコク |
横斑プリマスロック | 沖縄髯地鶏 | 尾長鶏 | 河内奴鶏 |
雁鶏 | 岐阜地鶏 | 熊本種 | 久連子鶏 |
黒柏鶏 | コーチン | 声良鶏 | 薩摩鶏 |
佐渡髯地鶏 | 地頭鶏 | 芝鶏 | 軍鶏 |
小国鶏 | 矮鶏 | 東天紅鶏 | 蜀鶏 |
土佐九斤 | 土佐地鶏 | 対馬地鶏 | 名古屋種 |
比内鶏 | 三河種 | 蓑曳矮鶏 | 蓑曳鶏 |
宮地鶏 | ロードアイランドレッド |
※〇〇は天然記念物
さらに、その地鶏を素に飼育された鶏に銘柄鶏という種類があります。
それぞれの地方で、独自の方法により飼育された国産銘柄鶏は、日本全国におよそ90種類以上あるともいわれています。
鶏の品種のちがいについて、詳しく解説した記事はこちらをご覧ください↓
その中でも、『名古屋コーチン』『さつま地鶏』『比内地鶏』は日本三大地鶏として有名ですね。
それでは、次にこの日本三大地鶏について詳しく解説していきましょう!
名古屋コーチン
歴史
名古屋コーチン明治時代初期に愛知県で、尾張地方の在来種と中国のバフコーチン種との交配により作り出された鶏です。
1905(明治38)年に日本家禽協会によって『国産実用品種第1号』に認定されました。
その後、褐色レグホーン種やロードアイランドレッド種などとのかけ合わせにより改良され、1919(大正8)年に『名古屋種』と改称されました。
しかし現在でも「名古屋コーチン」の名前で親しまれています。
飼育
現在、名古屋コーチンのブランドとして市場に流通している肉や卵のほとんどは、愛知県畜産総合センター種鶏場から供給された種鶏(親鳥)から産まれた名古屋コーチンによって生産されたものです。
名古屋コーチンは愛知県とその近隣県を中心に日本全国で飼育されていて、その肉や卵は高級食材となっています。
卵をよく産み、肉もおいしいことから、「卵肉兼用品種」に分類されています。
特徴
肉質がしまっていることと、味にコクがあることが特徴としてあげられます。
代表的な食べ方として、愛知県の郷土料理「かしわの引き摺り」というものがあります。
かしわ=鶏肉、引き摺り(ひきずり)=すき焼き‥わかりやすくいうと、「名古屋コーチンを使ったすき焼き」です。
比内地鶏
歴史
縄文時代以前から東北地方に生息していた日本固有の在来種で、1942(昭和17)年に天然記念物に認定された「比内鶏」が素になっています。
体が小さく繁殖力の低い比内鶏と、体が大きく繁殖力が高いロードアイランドレッド種とをかけ合わせた一代限りの交雑種(F1)が、秋田県大館地方の特産品『比内地鶏』なのです。
飼育
2007(平成19)年、秋田県大館市の比内地鶏販売業者が、偽装行為を長年行っていたことが発覚し、より厳格な比内地鶏ブランド認証制度がつくられました。
秋田県の認証する比内地鶏規定要旨(平成20年度から適用)
- 雄の比内鶏と雌のロードアイランドレッド種の交配で作出された一代交雑種
- 28日齢以降で平飼いか放し飼いで飼育
- 28日齢以降で1㎡5羽以下で飼育
- 雌はふ化日から150日間以上、雄は100日間以上飼育
実はこの規定、JASが認定している地鶏の規格よりも厳しい基準が設けられています。(青文字部分。地鶏の場合は『1㎡10羽以下』)
特徴
味が濃厚であること、そして加熱しても肉が固くなりすぎないことが特徴としてあげられます。
代表的な食べ方として、秋田県の郷土料理「きりたんぽ鍋」があります。
濃厚な味わいのある比内地鶏と、淡白な味わいのお米からできたきりたんぽ‥それらが絶妙なバランスを引き出した鍋は絶品です。
さつま地鶏
歴史
マレーの鶏と日本古来種の小国鶏とを交配して開発された在来種「薩摩鶏」が素になっています。
鹿児島県畜産試験場において、国の天然記念物である薩摩鶏をオス系に、ロードアイランドレッド種をメス系にした交雑鶏の交配を繰り返して作出された鶏が『さつま地鶏』です。
飼育
鹿児島県では現在、さつま地鶏を3件の農家で飼育、銘柄確立に努めています。
父方である薩摩鶏の気性が荒く、さつま地鶏も育てるのが大変難しいのですが、飼育期間が長いことにより、その肉の甘み・弾力・色合いなどは格別です。
2005(平成17)年度に開催された第2回「地鶏・銘柄鶏食味コンテスト」では、みやざき地頭鶏・青森シャモロック(軍鶏)・比内地鶏などをおさえ、グランプリである最優秀賞を獲得した。
特徴
体が大きく、肉質は弾力と甘みに優れているといわれています。
代表的な食べ方に、新鮮であることが第一の刺身やタタキがあります。
弾力や色合いが優れたさつま地鶏の肉質が、刺身やタタキにとても合っています。
まとめ
徹底したケージ飼育管理のもと約7週間という短期間で成長し、配合飼料で大量生産されるブロイラー。
それに比べ地鶏は成長が遅く、出荷されるまでに約20週間程度かかると言われています。
しかし放し飼いなどで運動量が増した環境下で飼育されるので、筋繊維は太く引き締まり、それによって歯ごたえが良くなります。
しかも、代謝が良いからか風味も抜群!
やわらかくてお財布にも優しいブロイラーを選ぶのか、歯ごたえ・風味がよい地鶏を選ぶのか‥どちらを選ぶも人それぞれです。
みなさんも、自分の好みに合った鶏肉を見つけてみてください☆
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。