みなさんこんにちは、田舎の精肉店肉処とよた略して『肉とよ』です🍖
テレビなどで牛肉の特集が組まれた時『このお肉はA5ランクで‥』といった文言を聞いたことがありますよね?
とくにお肉について詳しくなくても『A5=最高級の牛肉』というのは、いまや一般常識として浸透しております。
今回はこの『牛肉の格付け』がどのようになされているのかを、肉とよ的にわかりやすく解説していこうと思います!
格付けって何?
生産→と畜→流通→消費
牛肉が消費者のみなさんの元へ届くまで、大まかに3つに分けられています。
肥育農家などで『生産』された家畜が、『と畜』の際に枝肉と呼ばれる部位に分けられ、公益社団法人日本食肉格付協会によって、公正な取引をするための価格の基準の設定が行われます。
その後、販売業者(卸売・小売)や料理店などで『流通』し、みなさんに『消費』されるんですね。
わかりやすく言うと『競りに出される前の枝肉状態の時に行われる価格の基準設定』=『格付け』なのです。
ちなみに枝肉とは、牛の頭部や皮・内臓などを取り除いた状態の肉牛のかたまりのことです。
牛肉のランクは歩留(ぶどまり)等級と肉質等級の2つで決まります。
A~Cのアルファベットで歩留等級を、5~1の数字で肉質等級を表します。
この2つの基準でそれぞれ格付けがなされ、アルファベットと数字のかけ合わせでランクが付けられるのです。
ランクには最高評価のA5から1番格下のC1の15段階があります。
肉質等級 | |||||
歩留等級 | A5 | A4 | A3 | A2 | A1 |
B5 | B4 | B3 | B2 | B1 | |
C5 | C4 | C3 | C2 | C1 |
ランクと聞くとSやSRなんかもありそう(ゲームのしすぎ?)ですが、牛肉の場合はA5が最高のランクとなります。
肉質等級が5または4で、BMS「№7」以上が『佐賀牛』
肉質4・3・2等級、かつBMS「№6」〜「№2」の場合『佐賀産和牛』
になるよ
歩留等級・肉質等級、会話にいきなり出てきたBMS‥次はこちらについて詳しくご説明します!
歩留等級
歩留(ぶどまり)とは、一言で言えば食べられる部分がどれくらい多いかを示す言葉です。
それを調べるために枝肉(牛の体から皮や骨・内臓などを取り去ったもの)にするのですが、この状態だと、まだ骨や余分な肉は残ったままです。
そこで第6肋骨と第7肋骨の間で切断し、その切断面から枝肉重量に対する部分肉重量の割合を予測します。(写真は農研機構さんより引用)
歩留基準値=67.37 +〔0.130×胸最長筋面積(cm²)〕
+〔0.667×「ばら」の厚さ(cm)〕
−〔0.025×冷と体重量(半丸枝肉kg)〕
−〔0.896×皮下脂肪の厚さ(cm)〕
上記の計算式で出た値により
等級 | 歩留基準値 | 歩留 |
A | 72以上 | 標準より良いもの |
B | 69以上72未満 | 標準のもの |
C | 69未満 | 標準より劣るもの |
‥の3段階に分かれます。
枝肉の状態から最終的に食肉としてどれくらいとれるかを割合化したものが、歩留等級となるのです。
肉質等級
- 脂肪交雑(脂肪の入り具合、サシ)
- 肉の色沢(肉の色つやのよさ)
- 肉のしまりときめ
- 脂肪の色沢と質
以上の4つの項目について、それぞれ5~1等級に分かれます。
脂肪交雑
枝肉の断面から確認できる霜降りの度合いのことです。
これは、先ほど出てきたBMS(ビーフマーベリングスタンダードの略)という基準に従って判定されます。
BMS(ビーフマーベリングスタンダード)
日本食肉格付協会より引用
サシとは、まばらに点在している脂肪のことです。
1から12までナンバリングされ、ほとんどサシがないものが【№1】、数字が大きくなるほどにサシが入っていき、【№12】が最も霜降りの加減が良いものとなります。
等級 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
脂肪交雑 | かなり多い | やや多い | 標準のもの | やや少ない | ほとんどない |
BMS № | №12~№8 | №7~№5 | №4~№3 | №2 | №1 |
肉の色沢
枝肉の赤身部分の色や光沢を見て判断します。
こちらにはBCS(ビーフカラースタンダードの略)という基準があります。
BCS(ビーフカラースタンダード)
日本食肉格付協会より引用
肉の色が濃すぎたり薄すぎたりせず、なおかつ色つやが良いものほど等級が良くなります。
№3~5が良いとされています。
等級 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
肉の色沢 | かなり良いもの | やや良いもの | 標準のもの | 標準に準ずるもの | 劣るもの |
BCS№ | №3~5 | №2~6 | №1~6 | №1~7 | 等級5~2以外のもの |
肉のしまりときめ
肉質がしっかりとしまっており、きめが細かいものが良いとされています。
『しまり・きめの細かさ』ともに、枝肉の断面から判断します。
こちらは肉眼と触感での判定により、それぞれの等級に分けられます。
【肉のしまりときめ】
日本食肉格付協会より引用
『しまり』は食感にも関わってくる大事なポイントです。
等級 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
しまり | かなり良いもの | やや細かいもの | 標準のもの | 標準に準ずるもの | 劣るもの |
きめ | かなり細かいもの | やや細かいもの | 粗いもの |
脂肪の色沢と質
脂肪部分の色つやとその質、それぞれで判断され等級が決まります。
色味についてはBFS(ビーフファットスタンダードの略)という基準を用います。
BFS(ビーフファットスタンダード)
日本食肉格付協会より引用
№1~4が良いとされており、これは旨味と香りに関わる大事なポイントになります。
等級 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
脂肪の色沢と質 | かなり良いもの | やや良いもの | 標準のもの | 標準に準ずるもの | 劣るもの |
BFS№ | №1~4 | №1~5 | №1~6 | №1~7 | 等級5~2以外のもの |
肉質等級の決定
肉質等級は先の4つの項目についてそれぞれの等級が決まった後、その中で最も低い等級が採用されます。
- 脂肪交雑‥‥‥‥‥5
- 肉の色沢‥‥‥‥‥4
- 肉のしまりときめ‥3
- 脂肪の色沢と質‥‥4
※この場合3等級となる
格付けランクが高い=美味しい?
歩留・肉質等級ともに、最も高いと判断されたものがA5ランクの牛肉です。
‥しかし、これはあくまで流通する前の格付け(評価)であり、卸売小売業者が購入する価格の目安に過ぎません。
結局のところ『ランクが高い=霜降り具合が高い』と言って良いでしょう。
上質な霜降りはとろけるような食感を生み、また脂そのものの香りが高いです。
身体に良いとされる不飽和脂肪酸を多く含んでおり、融点が低いため食べると口の中で溶けてしまうほどです。
ただ人によっては「脂身が苦手‥」という方もいらっしゃるので、お好みで赤身の多いモモ肉などを選ぶのもオススメです。
ちなみに【喜ばれる歓び】をモットーにしている当店では、基本的にA4ランクの牛肉を扱っております☆
しかもどの部位もサシが入りすぎててお客さまのニーズにマッチしないからね
まとめ
牛肉の格付けのについて長々と説明してきましたが、いかかでしたか?
明確な判断基準が設けられているとはいえ、色味の確認だったり触感だったり‥結局は『見た目よる』ことがお分かりいただけたと思います。
ぶっちゃけると、肉とよ的には『ランクが高い=値段が高い』という結論にいたりました。
「高かろう美味かろう」や「安い肉ゲット」などなど、人の好みは十人十色です。
みなさんも、自分の好みに合った『美味しいお肉』を、ぜひとも探してみてください♪
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。