みなさんこんにちは、田舎の精肉店肉処とよた略して『肉とよ』です🍖
「美味しいお肉」シリーズとして、
- 『鮮度の見極め方』
- 『冷蔵保存』
- 『冷凍保存』
- 『スーパーなどでの選び方』
を紹介してきました。
鮮度も文句なしの美味しそうなお肉を購入し、その保存方法もバッチリ!
さっそく料理‥したのに。
なんて悲しい結果になったことがありませんか?
今回はそんな失敗をしないための、『お肉をおいしく食べるには』を肉とよ的に解説していきます!
共通認識の「まずいお肉」
一括りに「美味しいお肉」といっても、人それぞれの好みがあり、それゆえに定義付けするのは難しいです。
しかし、「まずいお肉」に至っては、皆さんの意見は一致して
「「「かたい!ボソボソしている!!」」」
と感じるのでは?
つまり、お肉を「おいしい」と感じるのには、「やわらかさ」と「ジューシーさ」が深く関わっているのです。
ここで思い出してほしいのは、たとえばファミレスでステーキやハンバーグを注文したときのこと。
熱々の鉄板の上でジューッと音を立てた状態で提供されます。
美味しそうな匂いも加わり、テンションも上がりますよね!
‥でも提供されたとき、その瞬間が料理としては最高な状態なわけで。
ステキな演出?の熱々の鉄板のおかげで、食べている間にどんどん焼けてしまい、イコールどんどんかたくボソボソとした食感になっていきます。
このように、お肉がかたくボソボソとしてくる理由は、温度が深く関わっています。
加熱に注意!
食肉を加熱したとき、食肉タンパク質は30~35℃で凝固が始まり、40~50℃で温度上昇と共に急激にかたさが増し、保水性も急激に減少します。すなわち、加熱温度上昇と加熱時間の長さによって肉は収縮、重量は減少していきます。50~55℃でこの変化はいったん停止し、さらに加熱を続けると、筋原線維タンパク質は収縮、凝固し、筋漿タンパク質は55~65℃で豆腐状に凝固します。そして、いわゆる膜や腱を形作っている肉基質(結合織)タンパク質は、生肉でも強く、弾力性がありますが、加熱によって、さらに収縮してかたくなります。肉基質中のコラーゲンはとくに強い無収縮を起こし、62~63℃で正常の3分の1に不可逆的に収縮します。
「ミートジャーナル」(食肉通信社)の日本獣医畜産大学畜産食品工学科肉学教室による<焼くと肉が縮むのはなぜ?>に、くわしく書いてありました。
ざっくりいうと『お肉は60℃を超えたあたりで水分が絞り出されてかたくなる』ということです。
お肉にやわらかさ・ジューシーさを求めるならば、内部温度を60℃台にとどめ水分が流れ出るのを防がなければなりません。
ここでいう水分とは、ずばり肉汁(一般的にお肉の内部の水分と脂肪とが加熱により液状化したもの)のこと!
これはステーキやハンバーグ・焼肉・から揚げ・カツなどなど、煮込み料理以外の焼く・揚げるすべての肉料理にいえます。
ちなみに厚生労働省が推奨する食肉の加熱基準は、63℃で30分相当とされています。
- 60℃→2時間9分
- 65℃→12分
- 68℃→3分
- 70℃→1分
- 75℃→5秒
‥というふうに、温度が低ければ長時間の加熱が必要になるし、温度が高ければ加熱時間は短くて済みます。
↑以前「激レア極厚ステーキ」をつくったことがあります。
両面を弱火+ふた付きで蒸し焼いていき、仕上げはアルミホイルで‥加熱時間は合計で40分強。
温度管理さえちゃんとできていれば、中までしっかり火がとおった状態のレアステーキを食べることができます。
お肉をやわらかくジューシーにするには、温度を上げすぎず、余熱などを利用して仕上げることをオススメします。
牛肉はやっぱりレアが良いと思うの(ヨメの偏った見解)
お肉の温度の目安となる「レア」「ミディアム」「ウェルダン」。
世界的に見ると複数の基準や呼び方がありますが、一般的には
- 50℃→レア
- 55℃→ミディアム・レア
- 60℃→ミディアム
- 70℃→ウェルダン
といわれています。
わかりやすく表にまとめてみました↓
温度 | 様子 | 状態 |
50℃~ | 【レア】
触るとまだお肉がプヨっとやわらかいけど、少し張りが出はじめます。 |
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55℃~ | 【ミディアム・レア】
張りが明確に出ます。アメリカでは食中毒原因菌が生存できる上限温度とされているんだとか。 |
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60℃~ | 【ミディアム】
さわり心地が「張りがある」から「かたい?」に変化しはじめます。食べればレアな食感。 |
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65℃~ | 【ミディアムウェル】
出てきた肉汁は水分より脂のほうが多く感じられます。色も食感もミディアム”では”あります。 |
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70℃~ | 【ウェルダン】
内部に少しなまめかしさが残っていますが、脂っぽさがなくなり、食感は「かたい」に。 |
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75℃~ | 【ベリー・ウェルダン】
完全に焼かれてしまった状態。繊維がより感じられ、お肉のなめらかさが消えます。 |
少しの温度差で、やわらかさ・ジューシーさが変わってきます。
まずは自分の好みの基準を探してみてください!
まとめ
牛肉料理には、レアステーキをはじめタタキなど基準値より低い温度で提供されることもありますが、これは適切な衛生管理がされていて、なおかつ表面さえ加熱されていれば安全だという共通認識があるためです。
逆に豚肉や鶏肉は『よく加熱すること』が推奨されていますよね。
食中毒などの危険を防ぐためにはたしかにそれも必要ですが、加熱の仕方を変えることで、ちゃんと火がとおった状態でもやわらかく仕上げることができます。
安全を考慮し好みに合った基準を、ぜひとも発見してみてください☆
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。