みなさんこんにちは、田舎の精肉店肉処とよた略して『肉とよ』です🍖
↑こちらは、以前記事にしたローストビーフのオススメレシピ。
どのレシピにもいえるのですが、ローストビーフ‥というよりはかたまり肉を調理する際は余熱を利用しつつ低温長時間加熱という手法がベストとされています。
その理由としては、単純明快『うまみ成分の増加』が見込まれるから。
どのような実験によってそれが出たのか、今回はそんなちょっと真面目な記事☆
一般的に「うまみ」として広く知られているものにグルタミン酸とイノシン酸があります。
グルタミン酸は昆布などに含まれているうまみで、味の素などの”うまみ調味料”のもとになっています。
イノシン酸はかつお節などに含まれるうまみで、グルタミン酸と組み合わすことでよりうまみが感じられるようになります。
さて、ではお肉にはどんなうまみ成分があるのか、というと。
実は”うまみそのもの!”という成分はありません。
その代わりに、うまみの増幅に一役買ったり、コクを演出するとして注目されている成分があります。
牛肉に多く含まれるペプチドやコラーゲンなどがそれにあたります。
千葉大学の研究者を中心とした実験でも、低温での加熱時間が長くなると牛肉中のペプチドが増加するとの結果報告があったようです。
この実験の条件は以下の2つ。
- 真空パックにした牛肉
- 40・60・80℃で、それぞれ10分・1,3,6時間加熱
この結果、ペプチドは60℃×6時間加熱でもっとも多く生成されました。
一方で、アミノ酸の生成量は40℃×6時間加熱が多かったようです。
この結果を受けて、かたまり肉についても実験が行われました。
実験にはオーブン使用し、
- A‥200℃で5分&150℃で45分加熱
- B‥120℃で20分加熱後、60℃で6時間保温
というそれぞれの手法で加熱しました。
Aは昔ながらのローストビーフレシピに近い手法、Bは近年かたまり肉を焼くときの手法として定着してきた低温長時間加熱というもの。
それらを老若男女問わず40人を対象として、以下の4項目・各3つの基準をもとに分類分けが行われました。
見た目 | みずみずしさ・好感度・やわらかさ |
香り | 食欲をそそるか・生っぽさ・脂っぽさ |
味 | 美味しさ・好感度・甘さ |
食感 | なめらかさ・ジューシー感・やわらかさ |
‥するとどうでしょう。
どちらも加熱修了時のお肉の中心温度が60℃になるように調整されたものなのですが、ほとんどの項目でBの低温長時間加熱に軍配が上がりました。
人による十人十色の判断だけでなく実際の数値で確かめてみても、調理法により美味しさの代名詞”アミノ酸”の量もAでは増加しました。
グルタミン酸などのうまみ成分は約2~3倍に。
Bの場合は、アミノ酸の増加はほぼ横ばい、うまみ成分は減少してしまったり。。
これらの実験・研究結果により、かたまり肉をより美味しく仕上げるコツとしては、低い温度から時間をかけてお肉の温度を上げることが分かりました。
もともとお肉はその形によって温度の上昇曲線が異なります。
薄切り肉なら一瞬で火がとおりますが、かたまり肉は一定の時間をかけて温度を上げていく必要があります。
焦げるから‥ではありません。
要は、うまみが増幅する温度(=60℃)の時間帯を長くすることで、感じるうまみを増幅させることができるから、というワケなんですね。
家族に”ドヤァ”したり、パーティーなどでお客さまをおもてなししたり。
みんなに喜んでもらいたいとき、かたまり肉はその見た目やサイズで、ほかのお肉料理にくらべて圧倒的な存在感を持っています。
さらには、加熱に時間がかかるかたまり肉ならばリスクは最小限で済みます。
お肉料理において過熱は致命傷になりかねませんが、万が一焼きが足りなかったら再加熱すれば良いですし☆
科学的にも証明されている低温長時間加熱という手法、みなさんもぜひお試しくださいね。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。