みなさんこんにちは、田舎の精肉店肉処とよた略して『肉とよ』です🍖
↑こちらは以前ご紹介した『牛肉の国内生産量 ならびに輸入量の推移』についての記事。
日本で牛肉が食べられるようになって、その需要を満たすために海外からの輸入が増えてきています。
一方で、海外での”和牛ブーム”に乗って輸出も伸びています。
今回の記事では、ここ数年の輸出入状況をみていきたいと思います。
食肉用牛の輸入先
日本の需給をささえてきたのが、アメリカ産牛肉とオーストラリア産牛肉(オージービーフ)です。
当初の輸入量は半々でしたが、2003年にアメリカ産牛肉にBSE問題が発生、全面差し止めに。
2005年に輸入再開に至りましたが、全頭検査が拒絶されたり、抜き打ち検査にて輸入禁止に指定されている脊髄部が混入していたことから、信頼回復は今なお遅れています。
一方オージービーフは、当初牧草飼育による赤身主体で肉質が硬いことから煮込み用の食材というイメージでした。
しかし、独自の検疫体制を確立し、BSEや口蹄疫の発生が抑えられています。
さらには、日本向けに穀物飼育もはじめたことから、ファストフードや牛肉チェーン店を中心に安定量が輸入されています。
【牛肉需要(部分肉ベース)の推移】
食肉用牛の輸出先
日本から輸出される食肉用牛はおもに「和牛」です。
【和牛】
明治以降に日本で品種改良を重ねてきた肉専用種のこと。
- 黒毛和種
- 褐色和種
- 日本短角種
- 無角和種
の4種と、これら4種間との交雑種のみ‥と定義付けられています。
以前はおもに香港やアメリカなどに少量輸出されていましたが、2001年に国内でBSEが発生し、さらに輸出は困窮しました。
そこで日本は、
- 全頭検査や特定危険部位の除去
- 肉骨粉の使用禁止などによる飼料規制
- トレーサビリティ法の制定
などを徹底推進し、ついに『日本のBSE対策は世界で最も厳しい』と賞賛されるまでに信頼を回復することができました。
2007年に輸出も再開され、その量は600トン近くまで急成長し、新たな輸出先(ベトナムなど)も加わっていきました。
ところが2010年に、今度は宮崎県で口蹄疫が発生。。
輸出が一時的にではありますが、停止にまで陥りました。
しかし輸出先国の冷静な判断により、ほどなくして制限区域以外での「牛肉についての輸出が再開される運びとなったのです。
2011年には国際獣疫事務局(OIE)の科学委員会から「口蹄疫清浄ステータス」の回復が認定。
これをきっかけに、マカオやカンボジアなどの新たな輸出先も開拓されました。
和牛輸出には厳しい管理が求められる
和牛を輸出したいからといっても、すぐにできるわけではありません。
生産農場からと畜・流通まで、一貫した管理が必要となります。
生産農場
生産者は事前に都道府県知事へ登録しなければなりません。
登録のためには、飼養体系などを記録したり、厚生労働省の輸出認定を受けた食肉処理施設に出荷する必要があります。
と畜場
前もって輸出スケジュールを食肉衛生検査所に提出するなどの手続きが必要になります。
また、と畜後の加工・箱詰めなどを食肉衛生検査員の立ち会いのもとで行う‥など、厳しい管理が求められます。
検疫
通関業者による部位明細書、衛生証明書等を参考に申請書を作成し、書類に矛盾が無いかを確認が行われ、必要書類を添付した書類を動物検疫所へ提出。
また、現物(和牛)及び現物に貼ってあるラベルの内容(部位名・数量・重量等)と書類が一致しているかを確認もされます。
輸出機関
提出された輸出通関申告書の審査を受け、問題が無ければ輸出申告許可書が発行されます。
ようやく、必要書類とともに商品(和牛)を飛行機、もしくは船で輸出国へ運ばれるのです。
まとめ
食肉用牛の輸出入について、肉とよ的に解説してみました。
安心安全が何よりも大事な食肉なので、安全を脅かす問題にはひときわナイーブになりがちなのは否めません。
しかし、それをもってしてより安全への対策がなされ、私たち消費者は安心して食肉を食卓へ並ばせることができるのです。
和牛の輸出に関してもそう。
厳しい管理によって、世界中で認められるブランド”メイドインジャパン”をたらしめるのです。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。