みなさんこんにちは、田舎の精肉店肉処とよた略して『肉とよ』です🍖
牛肉と一言でいっても、いろいろな種類があります。
今回は、牛肉の部位を知るシリーズ第1弾『部分肉の基本』について説明していきます!
部位に分ける『精肉』
まずはじめに、生産された牛がどのような流れで流通されるのかを説明していきますね。
牛肉が私たちの食卓に上がるまでには、おおまかに「生産→と畜→流通」の3つを介します。
肥育農家などで『生産』された家畜が、『と畜』の際に枝肉から価格の基準の設定が行われ、販売業者(卸売・小売)や料理店などで『流通』した各部位のお肉がみなさんに『消費』されます。
A5などといった格付けは、と畜の際の枝肉の状態でされます。
詳しくはこちら↓
枝肉とは、牛の頭部や皮・内臓などを取り除き、左右2分割にした骨付き肉のことです。
この枝肉から大きくカタ・ロイン・バラ・モモに4分割されます。
それぞれを抜き骨・整形して各部位に区分けしたもの=「部分肉」に分け、当店などの小売店に卸されます。
この部分肉から「すじ」や不要部分(くず肉)を切除し、ブロックや切り身、スライスなどすぐに利用できる状態に商品化したものが「精肉」です。
みなさんがよく目に耳にするのは、基本的にこの精肉になった状態ですね。
部分肉
カタ・ロイン・バラ・モモの4つに分けられたあと、それぞれ抜き骨され、筋肉のかたまりに沿って部分肉と呼ばれるパーツに分割されていきます。
カタならネック+カタロース+カタ+カタバラ+スネの5つ‥‥といった具合です。
農林水産省が法律に基づいて定める「牛部分肉取引規格」では、以下の13部位とされています。
ネック | かたロース | かた | リブロース | サーロイン |
ヒレ | かたばら | ともばら | うちもも | しんたま |
そともも | らんいち | すね | (部位の表記は同規格による) |
上の牛の図で追記説明すると
- 肩に近い方のバラ‥「かたばら」
- その他のバラ部分‥「ともばら」
- バラに近い方のモモ‥「うちもも」
- モモの外側‥「そともも」
- モモの内側にある球状の部位‥「しんたま」
- ランプ+いちぼ(お尻)でできている部位‥「らんいち」
といったところ。
黒毛和種という種類の牛では、1番重い部位はともばらで30㎏くらいあります。
部分肉の呼称は地域により異なる場合もあります。
代表的なのは関東と関西のちがいです。
例 | 関東 | カタロース・ヒレ・しんたま |
関西 | クラシタロース、トンビ・ヘレ・マル |
価格のちがいってなに?
部位の使い分けは、運動量の多い筋肉部分(そとももやスネ)は煮込み料理などに、やわらかい部分(サーロインやヒレ)は短時間でさっと焼くような料理、というのが基本です。
固い部位であり牛肉にしてはお手頃な価格のスネも、長時間煮ることで筋の部分に含まれるコラーゲンなどが溶け出し、高級部位のサーロインなどとは違った深みを味わうことができます。
肉用牛からとれる部位が、少なくなるほどその希少価値が上がります。
つまり、価格のちがいは需要の強弱の差でしかありません。
安い部位を使って、少しの手間をくわえて美味しく食べる‥ある意味究極な料理です☆
まとめ
1960年代あたりまでは、小売店や料理店などへの卸は枝肉流通が基本でした。
しかし、消費量の拡大やスーパーなどの台頭などとともに、より流通に便利な部分肉での取引が一般的になりました。
さらに1980年代からはスーパーや外食産業での需要を中心に、部分肉をさらに細分化した形での流通も増えてきました。
枝肉から小さく小割した形での需要により、約30パーツに分けたコマーシャル規格も作られています。
各地域での呼び方のちがいも、こういったことが背景にあるのかもしれませんね。
13種類の部分肉の詳細については、また別記事で解説いたします☆
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。