みなさんこんにちは、田舎の精肉店肉処とよた略して『肉とよ』です🍖
私たちの口に入る食べ物は、生産から小売りの段階まで徹底的な衛生管理がなされています。
そこで、【食肉を知る】と題しましてについて肉とよ的にシリーズ解説しております!
今回は↑こちらの補足記事。
食肉の安全・安心を考えるとして『口蹄疫』について解説させていただきます。
口蹄疫とは
口蹄疫(こうていえき foot-and-mouth disease、通称FMD)は家畜伝染病のひとつで、豚をはじめ牛・鹿・猪・羊など蹄が偶数に割れている動物、およびハリネズミ・ゾウなどが感染する口蹄疫ウイルスによる感染症です。
幼畜の場合は致死率が50%に達する場合もありますが、成畜では数パーセント。
ウイルス血症を起こし、外見的には発熱・元気消失・多量のよだれなどが見られ、舌や口中・蹄(ひづめ)の付け根などの皮膚の軟らかい部位に水ぶくれが形成され、それが破裂して傷口になります。
水疱が破裂した際の傷の痛み(細菌によるその後の二次感染も含む)で摂食や歩行が阻害され、患畜は体力を消耗し次第に弱っていきます。
この症状に伴い乳量の激減、さらには痩せてくるので食肉量も落ちてしまうため、畜産業にとっては大きな打撃となります。
また、基本的には口蹄疫には他のウイルス感染症と同じように不顕性感染があり、症状がまったくなくても、感染区域にいた牛・豚は感染症の媒介者になり得えます。
そのため、感染が確認された場合、他の家畜への感染拡大を防ぐため罹患した患畜は発見され次第殺処分されます。
このように経済的被害が甚大なものとなるため、畜産関係者から非常に恐れられている病気なのです。
強力な感染力
家畜の伝染病の中では最も伝染力の強い疾病でもあり、典型的な水ぶくれ形成前からウイルスが排出されます。
潜伏期間は動物の種類によって異なり豚は約10日・牛は約6日などとされていますが、実際には感染時ウイルス量と関係があり、多量であればあるほど潜伏期間は短くなります。
感染した1匹の豚は1日に4億個のウイルス粒子をまき散らし、10粒子で牛を感染させることができるのです。
さらには飼料も感染源となり、ワラに付着した口蹄疫ウイルスは夏では4週間、冬では9週間生存するといわれており、稲藁や麦藁に付着して入ってくる可能性も危惧されています。
また、病原体が付着した塵により空気感染も確認されています。
恐ろしい感染力ではありますが、ウイルス学の立場からヒトに感染する可能性は限りなくゼロに近いとされています。
稀に感染してもヒトでの症状は家畜のそれと違い穏やか。
潜伏期間は2〜6日ほどで、発熱、喉の痛みが起き、足・口内・舌に水泡ができる程度。
最後に水ぶくれができた日から約1週間で、輸液などの処置だけでほぼ回復します。
加熱処理をしていない生乳を飲んで感染したとする報告が世界にはありますが、日本では生乳を飲むこと自体が稀であり、また仮に飲み、そして仮に感染したとしても症状がゆるいことから、公衆衛生の問題としては扱われていません。
忘れてはならない
口蹄疫の感染を防ぐために発生農場の家畜はすみやかに殺処分され、周辺の農場の家畜の移動も制限して消毒を徹底するというのが世界共通の対策となっています。
‥がしかし。
29万7808頭。
これは、2010(平成22)年4月に宮崎県で発生した口蹄疫によって、8月の終息宣言までに感染して犠牲になった豚や牛の数です。
- 1例目で、宮崎県畜産へのダメージを恐れ、家畜保健衛生所が10日間報告を遅らせた
- 県やJAの施設でも防疫が杜撰(長靴・消毒槽がない民間農家や、立ち入り検査時に牛房の半分で症状が出ている大規模農場もあった)
など、宮崎県では諸般の事情から初期対応が遅れ、感染が急速に広がりました。
畜産関連の損失は1400億円、関連損失は950億円にものぼります。
目に見えない口蹄疫の広がりに、ヒトの移動も感染を広げるとして規制され、観光も含めて経済的に大きな損失を被りました。
また、毎日愛情を注ぎ世話をしていた家畜を殺さざるを得なかったつらい体験は、関係者にとって精神的なダメージとなったのです。
この口蹄疫禍で、畜産関係者は大きな教訓を得ました。
いかに日ごろの衛生管理が大事か、そして消費者を巻き込んだ危機管理意識の徹底も求められます。
あまり知られていませんが、韓国でも同様のことが発生し、日本の10倍以上の約350万頭もの豚・牛が犠牲になった過去も。
今なお韓国・台湾・中国などは口蹄疫が発生し続けている国です。
観光目的でむやみに家畜のいるところに立ち入るべきではありません。
まとめ
その感染力の高さ、殺処分による経済的損失は計り知れません。
二度と繰り返してはいけない病気が口蹄疫なのです。
感染力の高さ‥といえば。
新型コロナウイルスが現在進行形で猛威を奮っております。
みなさんも自身が今できる感染対策を徹底することで、終息を迎える日を早めることがきっとできます。
今一度、安全・安心への取り組みを考えることが大事なんですね。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。