みなさんこんにちは、田舎の精肉店肉処とよた略して『肉とよ』です🍖
私たちの口に入る食べ物は、生産から小売りの段階まで徹底的な衛生管理がなされています。
そこで、【食肉を知る】と題しましてについて肉とよ的にシリーズ解説しております!
今回は↑こちらの補足記事。
『動物からヒトに感染する病気②身近な動物の病気一覧』について、ざっくりとご覧いただければ幸いです。
主な動物由来感染症
人獣共通感染症という一般的には聞き慣れない言葉がありますが、これは動物由来感染症とも呼ばれ、人と動物との間に共通する病気(感染症)のことをいいます。
この対象となる動物には
- 哺乳類
- 魚類
- 両生類
- は虫類
- 鳥類
など、あらゆる生き物が含まれます。
どの生き物からも感染する病気ですので、ペット・野生に関わらずふれ合うときには少なからず注意が必要です。
ペット動物
イヌ | パスツレラ症・皮膚糸状菌症・エキノコックス症・狂犬病・カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症・コリネバクテリウム・ウルセランス感染症・ブルセラ症 |
ネコ | 猫ひっかき病・トキソプラズマ症・回虫症・Q熱・狂犬病・パスツレラ症・カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症・コリネバクテリウム・ウルセランス感染症・皮膚糸状菌症 |
ハムスター | レプトスピラ症・腎症候性出血熱・皮膚糸状菌症・野兎病 |
小鳥 | オウム病 |
たとえばカプノサイトファーガ・カニモルサス感染症。
これはイヌ・ネコの口腔内に常在している3種の細菌、カプノサイトファーガ・カニモルサス(C. canimorsus) 、カプノサイトファーガ・カニス(C. canis)及びカプノサイトファーガ・サイノデグミ(C. cynodegmi)を原因とする感染症です。
ヒトに感染した場合の潜伏期間はおよそ1~14日で、発熱・倦怠感・腹痛・吐き気・頭痛などを前駆症状として、重症化した例も報告されています。
国内のイヌの74~82%、ネコの57~64%がC. canimorsusを保菌しているというデータがあり、同様にC. cynodegmiの保菌率はイヌ86~98%、ネコ84~86%。
いずれにしても、イヌ・ネコの保菌率が高いことから、全てのイヌやネコが保菌していると考えた方が良いでしょう。
どの病気もヒトへ感染した場合は無症状か軽症がほとんどではありますが、節度あるふれ合い・手洗いなどの励行を心がけましょう。
野生動物
は虫類 | サルモネラ症 |
観賞魚 | サルモネラ症・非定型抗酸菌症 |
コウモリ | 狂犬病・リッサウイルス感染症・ニパウイルス感染症・ヘンドラウイルス感染症 |
サル | エボラ出血熱・マールブルグ病・Bウイルス病・細菌性赤痢・結核 |
野鳥(鳩・カラスなど) | オウム病・ウエストナイル病・クリプトコックス病 |
ネズミ | ラッサ熱・レブストピラ症・ハンタウイルス肺症候群・腎症候性出血熱 |
リス | ペスト・野兎病 |
耳にしたことがあるのはサルモネラ症ですかね?
最も一般的な症状は下痢・発熱・腹痛・嘔吐などで、ときに脱水症状からより重度の疾患を招くことがある病気です‥が。
原因となるサルモネラ菌は動物の消化管に常在しているものなので、普通に生活している上で野生動物からヒトに感染するリスクはほぼほぼありません。
また、表に挙げた病気のほとんどが日本で病原体が未だ、もしくは長期間発見されていなかったり、日本において患者発生の報告がない感染症です。
病気自体について不明なことも多いので、野生動物を捕まえて一般家庭で飼育することは避けるべき、この一言に限ります。
家畜
牛・家禽など | Q熱・クリプトスポリジウム症・腸管出血性大腸菌感染症・鳥インフルエンザ(H5N1)・炭疽 |
前回の記事で鳥インフルエンザのことに触れましたので、そちらを参考に。
ここでは腸管出血性大腸菌感染症について簡単な説明でも。
この言葉を聞いて、思い浮かべるのは『O-157』かと思われます。
「ベロ毒素」という毒素を産生する大腸菌の感染症で、この菌に汚染された食べ物などの摂取が原因とされています。
ベロ毒素は腸や腎臓の細胞にダメージを与え下痢、血便だけでなく腎不全などを引き起こします。
腸管だけでなく脳症の報告もあり、頭痛・意識障害(傾眠、不穏など)、さらには重症化すると痙攣や昏睡状態にもなる怖い菌です。
細菌自体ではなく毒素が問題であるので抗菌薬は使用しても効果がなく、対症療法としては①整腸剤で腸を整え②こまめな水分補給をとり③安静にしておくほかありません。
- 食品を十分加熱する
- 調理後の食品は食べきる
- 調理時に手指をよく洗う
これらの適切な衛生管理で予防しましょう。
その他
蚊 | ウエストナイル病・テング熱・チクングニア熱・ジカウイルス感染症 |
ダニ類 | ダニ媒介脳炎・日本紅斑熱・クリミア・コンゴ出血熱・つつが虫病・重症熱性血小板減少症候群(SFTS) |
蚊を媒介にした感染症では上記が挙げられますが、ほとんどの人(約80%)は無症状です。
感染した人のうち、2割程度がウエストナイル熱になると考えられており、発熱、頭痛、筋肉痛や、時に発疹、リンパ節の腫れが見られますが、症状は軽度です。
とはいえ今からの季節、感染症ではなくただただあの痒さは避けたいところ。
屋外の蚊が多くいる場所で活動する場合は、でぎるだけ肌を露出せず、虫よけ剤を使用するなど、蚊にさされないよう注意してくださいね。
また、春から秋にかけてマダニの活動が盛んになり咬まれる危険性が高まります。
どの病気も全身倦怠感からなじまり食欲不振とともに頭痛・悪寒・発熱などを伴って発症します。
草むらや藪などマダニが多く生息する場所に入る場合には、
- 長袖・長ズボン(服はなるべく明るいもの、シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる、または登山用スパッツを着用する)
- 足を完全に覆う靴(サンダル等は避ける)
- 帽子・手袋の着用
- 首にタオルを巻く
などなど、肌の露出を少なくすることが大事です。
まとめ
動物由来感染症について肉とよ的にまとめてみました。
さまざまな”群”において、感染すると軽症のものから重症化すると致死率があがるものまで、いろいろな病気があることがわかりました。
食肉に関するものは「家畜」部分だけでしたが‥
今回の記事内ではとくに「ペット動物」とふれ合うことが多いと思いますので、手洗いなどはこまめにしてくださいね。
何よりもかからないこと・未然に防ぐことをお心がけくださいませ。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。