みなさんこんにちは、田舎の精肉店肉処とよた略して『肉とよ』です🍖
「B級グルメ」と聞くとみなさんは何を思い浮かべますか?
神奈川の「シロコロホルモン」、岡山の「津山ホルモンうどん」、山梨の「甲府とりもつ煮‥
などなど、B級グルメの祭典『Bー1グランプリ』ではホルモンを使った料理が入賞を飾っています。
そして、地元にそのB級グルメ目当ての観光客を呼び込むことに成功するなどと、ホルモン人気の高さの裏付けにもなっています。
今回は、そんな『ホルモンの基本』について肉とよ的に解説していきます!
『ホルモン』を知る
ホルモンとはいわゆる内臓部分(臓物)のことで、モツともいいます。
日本食肉協議会によると、ホルモンの語源は、ドイツの医学用語Hormonや英語のhormoneなどの内分泌物質にあやかって、栄養豊富な内臓を食べると精力がつきそうだから‥と名付けられたのだそうです。
このホルモン、食品成分表では「畜産副生物」と表現されています。
【畜産副生物(Wikipediaより)】
生体から枝肉を採取した残り、および枝肉から除かれた骨が副産物であり、副産物から原皮を除いたものが副生物である。副生物は、頭、骨、血液、脂肪、内臓などが該当する。
副生物には具体的に
- 消化管系‥胃・小腸・大腸など
- 循環器系‥レバー・心臓(ハツ)など
- 頭(カシラ)・タン
- テール
- 横隔膜(ハラミ・サガリ)
などがあります。
色や形からくるイメージが呼び名となっていることもあり、食肉業界では消化管系を「白モノ・白モツ」、それ以外を「赤モノ・赤モツ」と呼ばれています。
牛の第3胃を「センマイ」と呼ぶのは、胃の内側に何枚ものヒダが重なり合っていることから、また小腸を「ヒモ」と呼ぶのは、その形が長いヒモ状をしているから‥などなど。
いろいろな種類があるので、副生物全体をバラエティミートやファンシーミートと呼ぶこともあります。
ホルモンを使用した料理の歴史は古く、万葉集(7世紀後半~8世紀後半)には獣鳥の内臓を塩辛やおナマスにして食べていたことが記載されています。
とはいえ、日本での一般的な食用としての歴史は比較的新しいです。
近年、味とともに栄養価も見直され、B級グルメやローカルグルメの食材としても利用されるようになりました。
美味しいことはもちろん、食感がよく栄養価も高い‥専門の本が出版されるなど、ホルモン文化は一般に浸透していっています。
ちなみに、出た畜産副生物のうち、内臓部分以外の使い道はこちら↓
- 原皮‥各種皮革製品
- 油脂‥ラードやヘットとして食用利用・石鹸や飼料などの原料
- 骨・血液・肉粉‥ペットフードや飼料、肥料の原料
それぞれの副生物
食肉は、牛などの家畜がと畜された後に採取されます。
その時に、先に説明したとおりの、枝肉と呼ばれる皮・内臓などを取り除いた状態の肉牛のかたまりと、枝肉以外の副生物とに分けられます。
牛・豚・鶏、それぞれの副生物の割合を見ていってみましょう☆
牛
牛1頭(生体)の重量を700㎏とすると、副生物は半分の50%、350㎏を占めます。
その約5分の1、70㎏程度が食べることのできる内臓になります。
生体全体でも約10%の重量を占めているので、経済的にも決して軽くないですね。
流通している牛の副生物(赤字はポピュラーな部位) | |||
ツラミ(ほほ肉) | タン(舌) | ウルテ(気管) | ノドスジ(食道) |
ハツ(心臓) | ハツモト(下行大動脈) | リードボー(胸腺) | レバー(肝臓) |
サガリ(横隔膜筋) | ハラミ(横隔膜筋) | ミノ(第1胃) | ハチノス(第2胃) |
センマイ(第3胃) | ギアラ(第4胃) | モウチョウ(盲腸) | テッポウ(直腸) |
ヒモ・ショウチョウ(小腸) | シマチョウ・ダイチョウ(大腸) | ||
アキレス(アキレス腱) | コブクロ(子宮) | テール(尾) |
豚
豚は牛と比べて体が小型なので、その分それぞれの部位の重量も小さいです。
カシラ・大腸・小腸・レバーは、いずれも1.2~1.5㎏。
その他も大きめのものでも300~500g程度です。
一般的に流通しているのはカシラやレバー、大腸・小腸・タン・ハツなど。
内臓以外の副生物として、ミミ・トンソク・テールも使われています。
流通している豚の副生物 | |||
カシラニク(頭肉) | ミミ(耳) | タン(舌) | ウルテ(気管) |
ノドスジ(食道) | ハツ(心臓) | レバー(肝臓) | ハラミ(横隔膜筋) |
マメ(腎臓) | ガツ(胃) | ショウチョウ(小腸) | ダイチョウ(大腸) |
テッポウ(直腸) | ハナアブラ(胃・腸周囲脂肪) | ||
チチカブ(乳房) | コブクロ(子宮) | トンソク(豚足) | テール(尾) |
血管や胃・腸の内容物などのいらない部分を取り除いたりして商品化するには大変な手間がかかります。
しかも長く保存することができないため、豚の内臓部分の流通はネックになっています。
鶏
牛・豚に比べて生体が小さいことから、鶏の場合は生肉(食肉)と副産物とに分かれます。
流通している鶏の副産物 | |||
セセリ(首) | ハツ(心臓) | レバー(肝臓) | 砂肝(筋胃) |
軟骨 | ぼんじり(尾についた肉) | モミジ(脚) | |
キンカン(体内で成長する途中の卵、採卵鶏の卵巣) | ガラ(首から腰までの骨) |
羽毛もフェザーミールとして、肥飼料用たんぱくに利用されます。
フェザーミール(Wikipediaより引用)
羽毛を3気圧・180℃の高圧・高温で3時間以上蒸したのち乾燥させて作られる。乾燥重量中90%がタンパク質で占められ、シスチンを多く含む。
まとめ
この記事で、肉とよヨメが個人的に「なるほどー」と思ったのは『タンも内臓の一種に数えられるのは頭(カシラ)が副生物に分類するから』でした。
とはいえ”ホルモン”として一般的にいわれているのは、牛と豚の内蔵物=小腸・大腸・胃です。
ハツやレバーなど、その他の副生物は各々名称で呼ばれることが多いですね。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。